うぉぉたぁぁめろん

身内さん向けです。身内創作企画キャラのssなど。

先を生きる人

冷たいコンクリートの壁


僕の“トモダチ”と固まって床に座っていた


離れないように、寒くないように



1人夢を見ていた


暖かい部屋で


眼鏡をかけた大人の男の人が笑う


もう1人の男の人が呆れた様にた溜め息を漏らしている



なんだか平和そうだなぁ…


僕もこんな夢のように暮らしたいな…





なんて



コツンコツン


靴の鳴る音


丁度その音で、夢から現実へ引き戻される


ああ僕の家はやっぱり此処なんだって


怖くて暗い部屋の中


たまに聞こえる音は


電子音と大人たちの声だけ


ほんのたまに、子供の泣く声


ずっとずっと同じ部屋


また“トモダチ”が1人消えていく


冷たい器具が付いた広い部屋に


人類に大切な『実験』をしてるんだって


僕は怖くなって



1人逃げ出した


足に足枷を付けたまま


裸足で地面を蹴った


できるだけ遠く、安全な所に


久しぶりに太陽を浴びて


くらりくらくら


目が眩む


回りは見たことのない場所


《 ハヤクニゲナイトコロサレチャウヨ 》


怖くて頭が痛くて、今にも倒れそう


「そんなところで、何をしてるの?」


後ろからかおとなの声がした



どうしよう


見つかっちゃった


殺されちゃうよ



そう思ったけど、痛くて疲れて動けなかった


足が竦むし、動けないや


そうするとまた声がした


「怖がらないでよ、僕なにもしないよ?」


優しそうな声


そっと手を差し出してきた


顔を上げるとその人はにっこり笑った


その姿を見たら


目は涙でいっぱいになった


そのとき僕は初めて、声をあげて泣いた


怖い、痛い、寂しい、暗い、絶望、不安


いくつもの感情が溢れ出たようだった


なにもかも吐き出したら


一気に体が重くなった


自然と瞼が重くなって


僕は意識を失った




人工的に作られた“能力”


改造された“記憶”


沢山切り刻まれた“肉体”



なにもかも全部



いらないよ




『こんなのもう、嫌だよ』



『誰かたすけてよ』




そう思った瞬間、目が覚めた


悪い夢を見ていたようだ


ふかふかのベットの上


暖かい部屋


此処は?


「よかった!目が覚めたんだね。」


あの人の声だ


「……え…あのぅ………あぁ………あえ…?」

上手く喋れない

「そうか、長いこと人と話していなかったんだね。」

「…まあ話していくうちに慣れていけば良いよ。」

何が起きているんだろうか、、、

「………状況が分かってなさそうだね…wえっと君が気を失った後俺が助けて、その後俺の家に連れてきた…ってワケ。つまりここは俺の家ってことw」

白衣着てる…お医者さんかな……

「ああ!そういえば名前聞いてなかったね!……えっと…俺の名前は…シンク。よろしくな!」


シンク……先生……


「………………かつき」


「……え?」


「…ぁ…ぼく……の……なあえは………暁……」



「……ん!じゃあしばらく家に住みな!まあ昼間は仕事でいないけど……てか暁君何歳よ?あ、その前にお腹減ったりする?…その前に部屋は……」



ああ、そうか


夢で見た男の人はこの人だったのか





僕に希望をくれた人


生きられるきっかけ与えてくれた人



僕の先を生きる人
















―* 暁とシンクが出会うお話 *―